もち衛門のひとりごと

日常の事や仕事のことをつづってます

初めての病院勤務の時の話

私が初めて「介護」の仕事に就いたのは20代だった。
知り合いに影響されて、福祉の仕事をしようと思ったけど
無資格未経験の私を使ってくれるところは、そうそう見つからず。
やっと雇ってもらえたのは、脳外科の慢性期病棟で『看護助手』になった。
殆どの方は、喉に穴が開いており(気管切開)
身体は拘縮(関節などが固まって動かせない状態)のため
自分で動くことができず、褥瘡(床ずれ)予防の為に
約2時間置きの体位交換とおむつ交換が必要だった。
シーツや寝巻のしわが褥瘡の原因の一つになると考えられていて
しわのないシーツの上に、一糸まとわぬ姿の上に長病衣をかけ肌を隠していた。
今なら『虐待』だが、その時はそれがまかり通っていた。


朝出勤して、おむつ交換と陰部洗浄・体位交換をし
次の体位交換までに病室内の片付けや掃除
鼻から胃まで管を入れ、経管栄養を摂取するために体位交換。
ギャッチアップ(ベッドの頭部を起こして座る)。
栄養摂取が終わっても、直ぐに横になると逆流したりするため
20~30分そのままの姿勢でいてもらい、
そのあと、おむつ交換と体位交換。
2時間後くらいの退勤前にもう一回、おむつ交換&体位交換。
をひたすら繰り返す。
体位交換も何時にはどっち向き、枕は何処にどうやって入れるなど決められていた。


声を出す事ができないし、意思疎通の難しい方が多かったが
此方の質問に目で答えてくれる方やたまに笑顔を見せてくれる方もいたので
それが分かるようになったときは、嬉しかったのを覚えている。


さっきも挙げたが、
今じゃ『ええっ!?』と思うことが普通だったことが沢山あった。
介護保険ができる前の事で介助者(ヘルパーとか)が主体だったことが多かった。
今は介護保険で言われている「尊厳の保持」や「利用者主体」などがあるから
人として敬うことが多くなった。


身体拘縮だって体位交換の仕方や離床を促すなどで以前よりはかなり少なくなった。
褥瘡もメカニズムが解明されて、骨が見えるまでの床ずれになることも
かなり減ってきてるように思う。


医学の進歩も目覚ましいけど、介護技術も着々と進歩してる。
介護用品も次々新しい商品が出てきてる。
今当たり前のことが20年後には、
『なんだ、それ!?』と失笑されるようになってるかもしれない。

×

非ログインユーザーとして返信する